【サボテンの育て方】水やりの量やお手入れ、水耕栽培等のコツを解説

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サボテンは園芸店や雑貨屋ですぐに手に入り、手入れも簡単なため、以前から人気の高い観葉植物です。ただし長く楽しむためには、適切なお手入れや植え替えをする必要があります。

この記事ではサボテンの基本的なお手入れや植え替えのコツ、増やし方等を紹介します。土のいらない水耕栽培もできるので、参考にしてみてください。

サボテンとは?

メキシコをはじめ南米のイメージが強いサボテンですが、誰もが目にしたことがある身近な植物でもあります。まずはサボテンがどのような植物なのか知っておきましょう。

サボテンはどんな植物?

サボテンとは北米大陸南部から南米大陸に多く分布し、熱や乾燥に強いことで知られている多肉植物に分類される植物です。約130属1450種以上があり、暑く水分の少ない過酷な場所でも栽培ができるという特徴があります。※
日本では鑑賞用植物として育てられるケースが多く、育てやすさや見た目のかわいらしさから高い人気を誇ります。

サボテンの特徴のひとつはトゲです。トゲには強い日光や砂嵐、動物から自分の身を守るほか、動物に刺さって遠くまで運ばせて、種の繁栄につなげる役割もあります。※

食用として世界中が注目

日本ではインテリアや鑑賞用として親しまれているサボテンですが、世界では「食用」としても注目されています。特に乾燥地では果実や家畜飼料、水の供給源としてもサボテンが重要な役割を担っており、約30の国や地域で栽培されています。

食用として用いられているのは主にウチワサボテンという種類で、一定以上の栄養機能性があることと、乾燥や高温に強いことから、国連食糧農業機関(FAO)も推奨の声明を出しています。日本国内でも食用サボテンが栽培され、サボテン料理やスイーツを味わうこともできます。※

サボテンのお手入れ

比較的育てやすいとはいえ、サボテンを長く楽しむにはお手入れが大切。ここでは水やり等の基本的な栽培方法を解説します。

水やり

サボテンは水やりをしなくても育つイメージがありますが、水が不足すると枯れてしまうため水を与える必要があります。

水やりの頻度はサボテンの大きさや栽培環境等で変わります。また気温によって必要なお水の量も異なるため、季節に合わせて水やりの時間や頻度、量を変えます。

例えば、小さい鉢のサボテンは大きいものと比べると土が乾きやすいので、水やりの回数も多くなります。一方で、水が多すぎると根腐れしてしまうので、適量を知っておくことが大切です。適量は鉢全体に水が行き渡り、鉢底の穴から流れ出る程度を目安にしてください。
次に季節ごとの水やりのタイミングと時間帯を紹介します。

春はサボテンの生育期です。大きく生長する時期なので水をしっかり与えてください。気温が上がってきたら水やりの頻度も増やします。

● 頻度:土が乾いたらすぐ
● 時間帯:午前中

7〜8月の夏場は生長が止まります。暑さに強いサボテンですが、30度を超える日が続くと生長が緩やかになります。元来、昼夜の温度差が激しい乾燥地域で育つので、夜間でも気温が下がらず湿度も高い日本の夏には活力を失います。

● 頻度:土の表面が乾いてから2〜3日後
● 時間帯:夕方〜夜

春と同様にサボテンの生育期に入ります。次第に気温が下がる秋以降は生長が緩やかになり、冬には完全に止まります。秋の水やりは以下の通りです。

● 頻度:土が乾いたらすぐ
● 時間帯:午前中

冬は休眠期に入ります。この時期は土も乾きにくく、基本的に水やりの必要はありません。ただし、暖房の効いた部屋ではサボテンの生長が続いているケースがあるため、土が乾いていたら水を与えます。

● 頻度:3~4週間に1回
● 時間帯:気温が高い昼間

サボテンを置く場所

サボテンは基本的に日当たりの良い場所に置くようにします。日当たりが悪いと、日光を探してひょろ長く伸びることがあるので注意しましょう。おすすめは屋外ですが、直射日光が当たりすぎると日に焼けて「葉焼け」という状態になってしまいます。そのため午前中だけ直射日光が当たる東側等を選びましょう。

また風通しが悪い場所に置くと害虫が発生し、病気になることもあるため、風通しの良さも考慮してください。屋外で雨が当たる場所は、水分が多すぎるため避けます。冬は室内に入れ、できるだけ日の当たる窓辺等に置きましょう。

肥料

サボテンはもともと過酷な環境下で生育しているので、肥料はほとんど必要ありません。生育期にあたる春と秋に月2〜3回程度、液体肥料を与えます。水やりの際に肥料を混ぜると簡単です。また、植え替えるときに、土にひとつまみの固形肥料を混ぜ込んで与えます。

いずれにしてもサボテンはあまり肥料を必要としません。肥料を与えすぎると根腐れの原因となってしまうので、タイミングや量に注意しましょう。

植え替え

サボテンが生長すると、購入時の鉢ではサイズが小さくなります。鉢底から根がはみ出していたり、土の粒が細かくなって水はけが悪くなったりしたら、植え替えをおこなうタイミングです。1年に2〜3回を目安に植え替えしましょう。

手順

1.根を抜きやすくするために植え替えの1週間ほど前から水やりをやめ、土を乾燥させる
2.新しい植木鉢の底に鉢底ネット、鉢底石を敷く
3.鉢底石の上にサボテン用の土を入れ、底から1/3程度まで盛る
4.根を傷めないようにサボテンを引き抜く
5.根に付いている古い土をきれいに落とし、傷んでいる根は取り除く
6.新しい鉢に根を広げながら入れる
7.鉢の上部から1㎝程度低い位置まで土を足す

植え替え後すぐは、サボテンが水を上手に吸えないため水やりは控えます。根の断面が完全に乾く前に水を与えると根腐れするので注意してください。植え替え後1〜2週間ほどは日光が適度に当たる場所に置き、根が土に馴染んできたら水やりをします。

乾燥した環境に生育するサボテンには、通気性や水はけのよい土が適しています。園芸店等では、多肉植物やサボテン専用の培養土が販売されているので利用するとよいでしょう。肥料が含まれているので、手間もかからず初心者の方でも簡単です。

サボテンを増やすには?

サボテンが大きく育ってきたら、株を増やすこともできます。増やす方法はいくつかありますが、ここでは代表的な2つの方法を紹介します。

挿し木

サボテンが育ってくると、株の脇や上の方に小さな株が生えてくることがあります。これを利用して別の鉢へ植えると株を増やすことができます。

生えてきた小株を切り取り、風通しの良い日陰で1週間程度かけて断面を乾燥させます。乾燥したら新しい鉢に土を入れ、株の切り口が埋まるように挿します。小さくて埋めにくい場合は、断面を土にのせる程度で大丈夫です。

植え付けた後は直射日光を避け、水を与えずに様子を見ます。根が生えてきたら日の当たる場所に移して水やりをしてください。

挿し木は、サボテンの生育期にあたる春か秋におこなうと育ちやすくなります。

種まき

花が咲くタイプのサボテンは、実がなり、種もできる場合があります。その種を土にまけばサボテンを増やすことができます。ただしサボテンが受粉しなければ種ができないため、複数株を育てている場合に向いている方法です。

まず新しい土を用意し、種を均一にまきます。このとき種の上に土はかぶせずに、水で湿らせて土の上に置いてください。発芽するまでは空気穴をあけたラップ等で覆い、乾燥を防ぎます。その後は、水が切れないように注意しながら、日当たりの良い暖かい場所に置き見守ります。

発芽したらラップ等を外して隙間を作り、ある程度大きくなったら鉢へ移しましょう。

水耕栽培もできる?

水耕栽培はヒアシンス等の球根植物でおこなうイメージが強いですが、サボテンも水耕栽培できます。水耕栽培は土を使わないため簡単で、土に発生する病気や害虫の心配がなく衛生的というメリットがあります。サボテンをおしゃれなインテリアとしても楽しめます。

水耕栽培する方法

サボテンを水耕栽培するには、通常土で生育するサボテンを水耕栽培に適した根が出るように育てていくのがポイントです。そのため長年土で育て、生長したサボテンは水耕栽培に向きません。水耕栽培をするには小さめの新しいサボテンを用意しましょう。

【水耕栽培の方法】

1.サボテンを用意し1週間前から水やりをやめ、土を乾かす
2.土が完全に乾いたらサボテンを鉢から引き抜く
3.根を丁寧にほぐして土を落とし、水できれいに洗い流す
4.水耕栽培に適応する根に育てるため、根を半分程度カットする
5.新聞紙に包んで、日の当たらない場所に置き、1週間程度乾燥させる
6.完全に乾燥したのを確認し、容器に根腐れ防止剤を入れる
7.根が1/3程度つかるくらいの水を容器に入れ、サボテンをセットする

水耕栽培のコツ

水耕栽培を成功させるコツは2つ。水の管理がポイントです。

定期的に水を交換

サボテンを水耕栽培で育てるには、酸素を多く含んだ新鮮な水が必要です。水替えの頻度は1週間に1度を目安に必ずおこなってください。ただし、サボテン本体が水につからないように注意して、根の1/3だけつかるように注意しましょう。本体が水につかると、腐ってしまうことがあります。

水温をチェック

季節や置き場所、部屋の状況等によって水温は変化しますが、5〜30℃をキープします。小さい容器は外部の影響を受けやすくなります。そのため夏場はすぐに水温が上昇してしまうので注意してください。もちろん真夏日や猛暑日の直射日光は厳禁です。

サボテンと長く付き合うには水やりがポイント

乾燥に強いサボテンですが、水が不足すると枯れてしまいます。水やりの頻度や量を季節ごとに変えるのが、上手にサボテンを育てるポイントです。

サボテンが生長したら、挿し木や種まきで株を増やすこともできます。水耕栽培をすれば、部屋を汚さずおしゃれなインテリアにもなります。

お手入れも楽しみながら、サボテンと長く付き合っていきましょう。

参考文献

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