硬水を飲み続けるとどうなるの?メリット・デメリットを紹介!

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毎日口にするお水には、「軟水」と「硬水」があります。日本で広く飲まれているのは軟水で、硬水を飲むには主にミネラルウォーターとして販売されているものを買う必要があります。

軟水と硬水は、見た目に違いはありません。しかし味わいが異なることから、「毎日硬水を飲んでも問題ないの?」「飲み続けるとどうなるの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。今回は、硬水のメリットとデメリットを紹介します。

硬水とは

市販されているミネラルウォーターには、ラベルに「硬度」が記載されているものが少なくありません。硬度を見れば、お水が軟水なのか、それとも硬水なのかを知ることができます。まずは硬水とはどんなお水なのかを解説します。

硬水の特徴

硬水とは「硬度」が高いお水のことです。お水の硬度は、カルシウムやマグネシウムといったミネラル成分が多く含まれているほど高くなります。

WHO(世界保健機関)では、炭酸カルシウムの含有量を基準に、軟水と硬水の違いを以下のように定めています。※1

分類 炭酸カルシウムの含有量
軟水 60mg/L未満
中軟水 60以上120mg/L未満
硬水 120以上180mg/L未満
超硬水 180mg/L以上

硬水の特徴は、軟水と比べると飲みにくいと感じる方が多いことです。また、石けんやハンドソープ、シャンプー等の泡立ちが悪くなります。さらに硬度が200mg/ℓを超えると、ヤカンやポット等にお水のミネラル成分が白く付着しやすくなります。※2

日本人に硬水は合わない?

日本の水道水はミネラル成分が少なく、硬度の全国平均値は、48.9 mg/ℓです。この数値は WHOによる分類でも軟水に当てはまります。多くの日本人にとって、「お水といえば軟水」というイメージが定着しているといえるでしょう。
ただし地域によってばらつきがあり、関東地方や沖縄地方の水道水は硬度が高い傾向があり、北海道や東北地方は低めです。※3

ちなみに水道水質基準の基準値では、硬度300mg/ℓ以下、おいしさの面から目標値は10~100mg/ℓと設定されています。※2

一方で世界に目を向けると、ヨーロッパの国では硬水が多く、旅先でシャワーや洗顔の際に違和感を覚える方も少なくありません。日本で暮らしている方の多くは硬水に慣れていないため、海外でミネラルウォーターを購入する際も、軟水を選ぶのがおすすめです。

硬水が飲みにくいのはなぜ?

硬水で気になることといえば、「口あたりが重い」「飲みづらい」等、味や飲みやすさに関することです。硬水にはマグネシウムとカルシウムが多く含まれているため、これらのミネラル成分が苦味を感じさせるといわれています。

冷蔵庫で冷やしたり、レモンを加えたりすることで飲みやすくなると感じる方もいますが、味の感じ方は人それぞれです。硬水が口に合わない場合は、口あたりがまろやかな硬度が低いお水を飲むようにしましょう。

硬水のメリット

日本人の多くは硬水を飲み慣れていないため、「わざわざ硬水を購入して飲むのはなぜ?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。ここでは、硬水のメリットを解説します。

身体の中からスッキリきれいに

マグネシウムの含有量が豊富な硬水を飲むと、自然な感じのお通じにつながることがあります。マグネシウムには水分を含んで便をやわらかくする作用があり、市販されている便秘薬にも配合されています。また、便秘の解消には水分をしっかりと摂ることも重要です。硬水で水分補給をすれば、マグネシウムと水分の両方を摂取できるのがメリットだといえるでしょう。※4

ただし、薬ではないのであくまで「便秘の解消が期待できる」に留めておいてください。

美容効果が期待できる

ミネラル成分が豊富な硬水を飲むことで、美容効果が期待できます。ミネラルとは人間が生きていくために必要な五大栄養素のひとつで、カルシウムやマグネシウム等の総称です。ミネラルには身体の調子を維持したり整えたりする働きがあり、不足するとだるさや疲労感、お肌の不調を感じることもあります。

硬水には一般的に、次のようなミネラルが多く含まれています。

  • カルシウム
  • マグネシウム
  • カリウム
  • ナトリウム

ミネラルは体内で作ることができないため、食べ物や飲み物から補給しなければなりません。硬水を飲むことで、手軽にミネラルを補うことができます。

運動前後のミネラル補給に

硬水は運動する前後のミネラル補給にも役立ちます。

運動で身体を動かすと、体温を調整するために汗をかきます。汗の成分は99%以上が水分ですが、残りの約1%はナトリウムやカリウム、カルシウム等です。

運動をして汗をかくと体内からミネラルが失われ、熱中症を引き起こしたり、身体の調節機能に影響が出たりする恐れがあります。場合によっては、運動中のパフォーマンス低下にもつながりかねません。※5

普段の水分補給には、飲みやすい軟水がおすすめですが、ミネラル補給を目的にお水を飲む場合は、軟水よりも硬水がおすすめです。

お肉の煮込み料理に合う

牛肉や豚肉等を煮込むときに硬水を使うと、やわらかく臭みのない味になります。これはお肉を硬くするたんぱく質と硬水に含まれるカルシウムが結びつき、アクとなって出ていくからです。

肉質をやわらかくしたいときや、肉料理をさっぱりとした味に仕上げたいときは、硬度が200~300mg/ℓ程度の硬水を使いましょう。ただ、硬度が高すぎる硬水を使うと反対に硬くなってしまうため、注意が必要です。

パスタや硬めの米を炊くのに合う

パスタをコシのある食感に茹でたいときや、パエリアやピラフのために粘り気の少ないインディカ米等を炊くときは、硬水が適しています。一般的に、硬水が日常的に使われている国の料理は、硬水で作るとより本場の味わいが楽しめると考えておきましょう。

その一方、日本で一般的に食べられているお米は粘り気が強く、硬水で炊くとふっくらとした食感やみずみずしい味わい等の魅力が失われてしまいます。

硬水のデメリット・注意点

ミネラル成分が豊富な硬水を飲んだり調理に使ったりする際は、デメリットについても知っておきましょう。ここでは、硬水のデメリットと注意点について解説します。

お腹がゆるくなることがある

日常的に硬水を飲んでいると、カルシウムやマグネシウムを摂りすぎてしまう恐れがあります。硬水に含まれるマグネシウムは、大量に摂取すると下痢を起こしやすくなるため、体調や体質に合わせて飲むようにすることが大切です。硬水のミネラルウォーターを飲むときは、ラベルに表記されているマグネシウム量をチェックしましょう。※1

参考までに、1日あたりのマグネシウムの摂取基準量は、成人男性で320~370mg、成人女性で260~290mgです。なお、食品から摂取する量の上限は設定されていません。※6

好みに合わない日本人が多い

すでに紹介したように、日本の水道水は基本的に軟水です。そのため硬水独特の苦みが口に合わず、飲みにくいと感じる方が少なくありません。

飲みにくさがあると常飲するのが難しいだけでなく、無意識にお水を飲む量が減ることで脱水状態を引き起こしてしまう可能性もあります。飲み続けられるかどうかの個人差が大きい点は、デメリットだといえるでしょう。

素材の味を生かす料理に合わない

硬水は、素材を生かす料理や繊細な味わいが魅力の料理には合いません。代表的なものは、だしの風味を楽しむ和食です。

例えば昆布だしをとるときに硬水を使うと、お水に含まれるカルシウムがうまみの抽出をさまたげてしまいます。また、硬水で豆腐を煮ると硬くなってしまい、食感が損なわれます。和食を調理する際は、軟水を使うのがおすすめです。

胃腸の弱い方・赤ちゃんに不向き

お水は毎日口にするものなので、無理なく飲み続けられることも大切です。硬水は多くの日本人にとって飲みにくいうえ、体質的に合わないことも少なくありません。特に、胃腸が弱い方の飲用水や消化器官の発達が未熟な赤ちゃんのミルクづくりには、軟水を選びましょう。

お水は目的によって選ぼう

繰り返しとなりますが、ミネラル成分が豊富な硬水には、水分補給をしながらカルシウムやマグネシウム等のミネラルも摂取できるというメリットがあります。 その一方で、個人の体質によってはお腹がゆるくなることもあるため、飲む量を調節する等の工夫が必要です。

硬水を飲み続けるとミネラルの摂取量が増えるため、身体に負担がかかる可能性もあることを覚えておきましょう。

硬水は調理にも使えますが、お肉をやわらかく煮込める一方で、繊細な味わいが魅力の和食には向いていません。硬水と軟水は、見た目は同じお水ですが、飲み口や味、特徴が異なります。自分の体調や目的によって使い分けましょう。

参考文献

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