ペットボトルや食品容器、家電製品、自転車にいたるまで、私たちの生活のあらゆる場面で利用されているプラスチック。安くて使い捨てができる等、便利な一方で、プラスチックごみが大量に海に流れ出ており、生物の生態系にまで影響を及ぼしています。
現在、世界中でプラスチックごみが問題となっており「脱プラスチック」の動きが加速しています。背景には海洋汚染や製造・焼却時に出る二酸化炭素の増加による地球温暖化等、環境問題が取り沙汰されていることがあります。
プラスチックは生活に必要なものですが、環境を守るために私たち1人ひとりにできることを考えていきましょう。
目次
一般的にプラスチックは石油を原料とした高分子化合物で、合成樹脂ともいいます。 工場での大量生産が進んだ1950年代頃から世界的に普及し、現在では生活のありとあらゆる物にプラスチックが使われています。熱で自由に成形でき、軽いという特徴から、家庭用品、電化製品、医療用品等幅広い製品に使用されるようになり、様々なものが使い捨てとなりました。
しかし、プラスチックのもうひとつの特徴である「自然分解されない」という点で、現在のプラスチックごみの問題へと発展しています。「土に還る」という言葉があるように、自然界のものは微生物等に分解されて土に戻ります。一方でプラスチックは細かくなるものの自然分解されないため、長く自然界に残り続けて、環境へ影響を及ぼすことになります。※1
では、プラスチックがどのような点で問題となっているのか、次の項で詳しく解説していきます。
プラスチックごみは想像しているより大量に存在しています。 景観や環境汚染問題、海洋生物の命を危険に晒すだけでなく、生物が摂取したプラスチックを間接的に人間が摂取している影響や、漁業や観光業等へも波及しています。ここでプラスチックの問題についてみていきましょう。
プラスチックごみは大量に海に流れ込んでおり、その量は年間500万〜1,300万トンとも推測されています。※1
クジラの胃から40㎏ものビニール袋が出てきた、死んだクジラの赤ちゃんの胃からプラスチックごみが発見された等、世界中でクジラの胃からプラスチックごみが発見されるニュースが届いています。ビニール袋はクジラの胃の中で消化されないので、ほかのエサが食べられずに死んでしまうケースが相次いでいます。
クジラのみならず、イルカやウミガメ、海鳥等もプラスチック製の袋や網が身体に絡み、傷ついたり死んでしまったりする例が多くあります。このようにプラスチックごみが海の生物たちを脅かし、やがて生態系が変わってしまうことが危惧されています。※2
プラスチックごみは自然分解されず長く環境に留まります。自然界で完全に分解されるまでには数百年以上の時間がかかるといわれており、その間に海に流出したプラスチックごみは波の作用や紫外線による劣化で「マイクロプラスチック」と呼ばれる5ミリ以下の粒子となります。
マイクロプラスチックを海の生き物たちが摂取すると、それを食べる人体への影響も懸念されます。極小となったプラスチックごみは回収も難しく、どのように海中に存在しているのかの実態把握も困難です。
現在のところ生物や人間に及ぼす影響は明らかになっていませんが、体内に吸収されると健康に悪影響を与える可能性が指摘されています。サンゴがマイクロプラスチックを取り込んだために、共生関係にある褐虫藻が減ってしまい、共生関係が崩れてしまったという事例も報告されています。※3
このようにマイクロプラスチックが海の生態系を破壊し、人体へ影響を与える可能性も否定できないのです。
1950年以降に世界で生産されたプラスチックは83億トンを超えており、63億トンがごみとして廃棄されています。そのうち回収されたプラスチックごみの79%が埋め立てられるか海へ投棄されており、海に流出するのは毎年約800万トンと予想されます。
このままいくと2050年には海中のプラスチックごみが魚の量を超えるという試算もあり、早期のうちに世界中で対策に取り組む必要があります。
プラスチックごみは海を汚し海の生物たちの命を脅かすだけでなく、漁業や養殖業、観光業等にも大きなダメージを与えています。
経済協力開発機構(OECD)の調査によると、世界で年間130億ドル(1兆4,300億円)もの経済的損失とされており、プラスチックごみの問題は経済にも大きく影響することがわかります。※4
大規模な森林火災や大雨、干ばつ、寒波の襲来等、世界中で異常気象が起こっています。夏の酷暑等、地球温暖化を体感している方も多いでしょう。その原因のひとつにプラスチックの問題があげられます。
プラスチックの大半は石油から作られますが、製造過程やごみとして焼却される際に二酸化炭素を大量に発生させます。この二酸化炭素は「温室効果ガス」とも呼ばれ、地球温暖化を加速させる一因にもなっています。
1人当たりのプラスチック容器包装の廃棄量を国別で比較してみると、日本は年間約32㎏を排出。これはアメリカに次ぐ世界2位の廃棄量であり、日本はプラスチックごみ大国といえます。ひとりひとりがこの問題を自覚し、脱プラスチックへ取り組むことが大切です。※4
海中のプラスチックごみはどこからくるのでしょうか。
これらはほぼ陸で出たプラスチックごみです。プラスチックは軽くて安価なため使い捨て製品にも多く使われ、レジ袋やペットボトル、商品パッケージ等、生活環境の中にあふれています。これらのごみをポイ捨てしたり、外に放置したりすると、雨や風で河川に運ばれ、やがて海へ流れ出てしまうのです。
環境省の調査によると2016年度に全国で回収した漂着ごみは約3万トン。
種別ではプラスチックごみが最も多く、その多くは日本で排出されたものです。私たち自身が捨てたプラスチックが、ごみとなって日本の海岸を汚し、海の生物や経済にも悪影響を与えています。やがて私たち自身の健康も脅かされる可能性があり、一刻も早くプラスチックごみを出さない工夫をしなければなりません。※2
プラスチックごみを減らすために、具体的にどのようなことをすればよいのでしょうか?自分ができることはなにか、なにをすべきなのかを理解しておきましょう。
現代においてプラスチックは不可欠な素材である一方で、プラスチックを資源として循環させ還元していくことが重要です。日本では国として取り組みをはじめており、2022年4月には「プラスチック資源循環促進法」が施行されました。
この法律はプラスチックを規制するのではなく、プラスチック製品を設計する段階から「製造・販売・回収・リサイクル」の流れを作り、環境に配慮した循環型経済の構築を推進しようとするものです。そのために自治体、事業者、消費者が連携し以下の基本原則を守ることが大切です。
【3R+Renewableの基本原則】
Reduce(リデュース)…
製品に使用する資源の量を少なくすること、廃棄物の発生を抑制すること
Reuse(リユース)…
使用済みとなった製品を廃棄せずに、繰り返し使用すること
Recycle(リサイクル)…
廃棄物等を原材料やエネルギー源として再利用すること
Renewable(リニューアブル)…
製品に使用する資源を再生可能なものに代替すること
プラスチックが増加しない工夫と「捨てることを前提としない経済活動」を目指し、自治体・事業者・消費者がそれぞれの役割をきちんと担っていくことが求められます。※5
消費者の立場から日常生活の中でできることは「プラスチックは、選んで、減らして、リサイクル」することです。プラスチックが環境に与える影響を考慮し、取り組んでいきましょう。
エコなプラスチック製品を選ぶことで、環境を汚さずリサイクルできます。
楽で便利ではあるけれど、使い捨てプラスチックを使わないことを心がけ、プラスチックごみを減らしましょう。
自治体や店頭等でプラスチック製品の分別・回収・リサイクルに協力しましょう。
どれも簡単にできることなので積極的にプラスチックごみを減らして地球を守っていきましょう。※6
プレミアムウォーター株式会社は、環境を守る持続可能な取り組みとして「Reduce」「Recycle」に重点を置いた取り組みを推進しています。
設計段階から環境配慮資材を組み込み、リサイクルしやすいペットボトル/ウォーターサーバーへと規格を見直すとともに、消費者に対するサスティナブルな啓蒙まで、一気通貫のプラスチック資源循環型モデルを実現していきます。
浄水型ウォーターサーバーブランド「Locca」 では、水道水を利用する浄水型ウォーターサーバーなので、よりペットボトルが出にくいサービスモデルに加え、マイボトルにウォーターサーバーのお水を入れて持ち運ぶマイボトル利用も推進しております。
私たちにできることは、プラスチックごみの発生を抑え、正しく処理をすることです。地球環境を守るためにもプラスチックごみ問題の解決に向けて、取り組みやすいものから実行に移してみませんか?