水道水や天然水に細菌はいる?安全に水を飲むためには

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私たちが毎日使っている水道水。一見きれいに見えますが、その水質について「本当に細菌は入っていないの?」と疑問を感じる方もいるかもしれません。
実際のところ、水道水や天然水、ペットボトル飲料に含まれる細菌は「ゼロ」ではありません。重要なのは、その存在や人体への影響を正しく理解し、安心して水を飲むための工夫をすることです。

本記事では、水道水やペットボトル飲料等の身近な水に潜む細菌や、安全に飲むためのポイントをわかりやすく解説します。

水の細菌について知っておこう

身近にある水には、わずかではありますが「細菌」が存在しています。だからといって、すべてが危険というわけではありません。正しい知識を持ち、適切な対策をとれば、安全に飲むことができます。

まずは、細菌の基本や水道水・天然水・ペットボトル飲料に関する注意点について見ていきましょう。

そもそも細菌とは?

細菌は微生物の一種で、「細胞核を持たない単細胞の原核生物」に分類されます。

例えば、人の細胞には核がありますが、細菌にはそれがなく、構造がシンプルなのが大きな特徴です。※1

さらに、細菌とよく混同されるウイルスは細胞そのものを持たず、自力で増えることができません。

これに対して細菌は、自ら細胞分裂を繰り返して数を増やします。水分・栄養分・温度の条件が揃うと一気に増殖しやすいため、身近な環境でも注意が必要です。

人体に悪影響を及ぼす細菌も少なくないため、飲料水や食品には「一般細菌」や「大腸菌」といった検査項目が設けられています。私たちが安全に水や食品を口にできるのは、こうした基準が守られているからです。

一般細菌って何?

一般細菌とは、いわゆる「雑菌」のことです。
水道水の水質検査項目のひとつにも含まれており、基準値を超えていないかどうかで安全性を確認しています。

定義としては「標準寒天培地」と呼ばれる培養用の物質で、約36℃・24時間培養した際に増える細菌の総称です。※2

つまり、私たちの生活環境に普通に存在する身近な細菌をまとめた呼び方といえます。

ペットボトルの細菌の増殖に注意!

ペットボトル飲料は、飲み方や保存方法によっては細菌が増えやすくなるため注意しましょう。

例えば、ペットボトルに口をつけて飲んだあと常温で放置すると、口内の細菌が移って1日で1mlあたり100万個以上にまで増殖することもあります。
細菌の増殖を防ぐには、ペットボトルに直接口をつけず、飲み残しは冷蔵庫で保存するのがポイントです。外出先では、数時間以内に飲み切るよう意識しましょう。
特に夏は水分・栄養分・温度の条件が揃いやすく、細菌にとって絶好の環境です。
ちなみに、細菌は細胞分裂で数を増やすため、細菌が増えることを一般的には「増殖」といい、動物等のように交配で増える「繁殖」とは区別されています。

水道水の細菌

水道水は塩素で消毒されているため、細菌が増えることはほとんどありませんが、完全にゼロというわけではありません。水質基準では一般細菌数を1mlあたり100個以下と定めており、この範囲内であれば健康への影響はないとされています。

そもそも私たちの身の回りには、食品や手指等にも多くの細菌が存在しており、水道水に少量含まれるのも自然なことです。ただし、水道からくみ置きした水を保存する際には注意が必要で、10日ほど保存する場合は冷蔵庫に入れて細菌の増殖を防ぐようにしましょう。

天然水の細菌

天然水は「きれいな水」というイメージがありますが、水道水と違い塩素消毒をしていないため、細菌等の微生物が増殖しやすい環境にあります。市販の天然水は味やおいしさを守るために、あえて塩素(残留塩素)を加えていません。

このため、未開封の状態であれば安全性は保証されていますが、開封後は塩素による消毒効果がないため、細菌が増殖しやすくなり、取り扱いに注意が必要です。

河川の細菌

河川には一般細菌はもちろん、人体に有害な細菌も含まれており、その種類や働きを全て調べるのは難しいほどの細菌が存在しています。
具体例を挙げると、埼玉県の河川水には1mlあたり数百万もの細菌の存在が確認されています。※3

環境汚染は関係あるの?

一般細菌の多くは病原性を持ちません。ただし、水が汚れているほど数が増える傾向があるため、水質の汚染度を測る指標のひとつとして利用されています。つまり、環境汚染の影響はそのまま私たちの飲み水にも関わってくるため、非常に身近な問題といえるでしょう。

有害なイメージのある大腸菌は人や動物の腸内に生息していて、本来は河川には存在しません。川から大腸菌が見つかるのは、生活排水等による汚染が影響している可能性を示しています。なお、有害で危険な大腸菌O-157は特別なケースであり、大部分の大腸菌は人体に無害です。※3

いずれにしても、川の水は見た目がきれいでも細菌が多く含まれているため、そのまま飲むのは避けましょう。

水道水の水質基準について

身近な飲み水として私たちが毎日利用している水道水は、国によって厳しく定められた水質基準をクリアしています。ここではその基準や、自宅でより安全に飲むための工夫について紹介します。

一般細菌は水質検査の項目に含まれる

水道水は「水道法」に基づき、水質が一定の基準を満たしていなければ供給できないと定められています。そのため、各自治体の水道事業者には定期的な水質検査の実施が義務付けられています。※4

検査項目は全部で51項目あり、その最初に挙げられているのが「一般細菌」です。基準としては「水道水1ml中に100個以下」であることが求められており、この範囲内であれば健康への影響はないとされています。※2

自宅で水道水を安全に飲むために

前述の通り、水道水は法律で定められた水質基準を満たしており、基本的にはそのまま飲んでも問題ありません。

ただし近年では、PFAS(有機フッ素化合物)等の、従来の基準では想定されていなかった物質が話題になることもあります。こうした物質は人体への影響がまだ研究段階ですべてが明らかになっていないため、念のため浄水器を導入するご家庭も増えてきました。気になる方は、浄水器の利用を検討するとより安心でしょう。

ウォーターサーバーにも細菌はいる?安全に使うための注意点

ウォーターサーバーの水は、宅配水型(天然水、RO水等)と、水道水を注いで使う浄水型に大きく分けられます。ウォーターサーバー本体の使い方や日頃のお手入れ次第で細菌が増殖する可能性があるため、注意が必要です。

ここでは、ウォーターサーバーのタイプ別に、細菌対策として特に注意しておきたい点と、本体のメンテナンスについて紹介します。

天然水

天然水は、水源から採水後、ミネラル分や風味を守るために塩素等の化学処理はおこなわず、代わりに精密なフィルターや加熱殺菌で除菌されています。

ただし、塩素が含まれていないため、いったんサーバー内部やボトル交換時等に外部から細菌が混入すると、水道水のように残留塩素による増殖抑制効果が期待できません。
そのため、サーバー本体の定期的なメンテナンスを怠ると、細菌が増殖する恐れがあるため、こまめなお手入れが大切です。

RO水(ピュアウォーター)

RO水は、逆浸透膜(RO)フィルターを使って水分子以外のほぼすべての不純物(細菌や有害物質、ミネラル等)を取り除いた、純度の高い水です。
天然水と同様に塩素消毒がされていないため、RO水自体に細菌が混入しなければ安全ですが、一度混入すると、細菌の増殖を抑制する成分がない環境といえます。

そのため、本体の清掃やメンテナンスはもちろん、ボトル交換時に注ぎ口へ直接触れない等、細菌が混入しないように注意が必要です。

浄水

浄水型のウォーターサーバーは水道水をそのまま使うため、もともと細菌の数は基準値以下に抑えられています。浄水カートリッジを通すことでさらに細菌を除去できますが、同時に塩素も取り除かれるため、水道水よりも細菌が増殖しやすい点には注意が必要です。
給水タンクに入れたまま3日以上経過した水は、塩素による殺菌効果がほとんど失われているため、給水タンク内の古い水は注ぎ足さずに捨て、できるだけ早めに飲むようにしましょう。

ウォーターサーバーの水を安全に飲むために

ウォーターサーバーの水を安全に飲むためには、日常的なメンテナンスが欠かせません。出水口や水受け皿は特に細菌が付着しやすいため、こまめに清掃して清潔な状態を保ちましょう。
また、細菌の増殖を防ぐために、冷温水タンクの温度を維持することが重要です。長期間の外出時でも、電源を切ったり、温水スイッチをオフにしたりしないよう注意が必要です。内部の温度管理ができずに、細菌が急速に増殖する恐れがあります。

さらに、浄水型ウォーターサーバーでは給水タンクに注いだ水は2日程度で飲み切るようにすると安心です。時間が経つほど細菌が増えやすくなるため、できるだけ新鮮なうちに使い切るようにしましょう。

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参考文献

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